精神障害があると、ITエンジニアへの転職は難しいのではないか――そう感じている人は少なくありません。
書類選考に通らない、面接で詰まる、体調が不安定になる。経験が重なるほど「自分には無理かもしれない」と思ってしまいます。しかし、本当に問題は能力なのでしょうか。
本記事では、精神障害×IT転職の現実を整理し、無理かどうかを冷静に判断するための視点を解説します。
🧭 この記事で分かること
- 精神障害があるとIT転職が「無理」と感じる理由
- 何社も落ちる人が陥りやすい落とし穴
- 一般枠と障害者雇用の違いと注意点
- 無理かどうかを判断するための具体的な整理方法
目次
精神障害があるとIT転職は本当に無理なのか?

精神障害があると、IT転職は難しいと感じてしまう人は多いです。その理由の一つは、配慮がない一般枠の基準で自分を比べてしまうことや、十分な情報を知らないまま判断してしまうことにあります。
配慮のない環境では本来の力を出しにくいこともありますが、それは「能力が足りない」という意味ではありません。実際に、障害者雇用のIT求人や在宅勤務を選び、安定して働いている人もいます。
大切なのは、気持ちだけで「無理」と決めるのではなく、自分に合う条件があるかどうかで考えることです。
「無理」と感じる瞬間
何社も応募して書類選考に通らないと、「やっぱり精神障害があるとIT転職は難しいのかも」と思ってしまいます。
面接で緊張してうまく話せなかったり、体調が安定せず自信を持てなかったりすると、不安はさらに強くなります。エンジニア職はスキルや経験が重視されるため、周りと比べて落ち込んでしまうこともあるでしょう。
ただ、それは必ずしも能力不足とは限りません。職場の環境や求人の選び方が合っていない可能性もあります。
なぜ「無理」と思い込んでしまうのか
「自分には無理だ」と思ってしまう理由の一つは、配慮がない一般枠の基準で自分を比べてしまうことです。
その条件で競争すれば、体調に不安がある人は不利に感じやすくなります。また、障害者雇用のIT求人を十分に調べないまま、自己応募だけで転職活動を進めると、情報が足りない状態になります。
その結果、書類や面接でうまく伝えられず、「やっぱり転職は無理だ」と思い込んでしまうのです。
なぜ何社も落ちてしまうのか?よくある3つの落とし穴

何社も不採用が続くと、「精神障害があるからだ」と思ってしまいがちです。しかし、原因は転職の進め方にある場合も少なくありません。
実際に、障害者雇用の人数は年々増えています。(出典:厚生労働省|障害者雇用状況の集計結果)。それでも落ち続けるときは、求人の選び方や配慮の伝え方、職務経歴書の書き方に改善点がある可能性があります。
①自己応募だけで進めている
自己応募だけでIT転職を進めると、求人選びや書類作成が自己流になりやすいです。
精神障害がある場合、「どこまで配慮を伝えるか」「どの職場が自分に合うか」を一人で判断するのは簡単ではありません。その結果、自分に合わない企業に応募し続けてしまい、書類選考で落ちる回数が増えてしまいます。
十分な情報がないまま動くことが、疲れや不安を強める原因になります。
②配慮条件を整理できていない
転職活動では、「どんな条件なら安定して働けるのか」をはっきりさせることが大切です。
たとえば、在宅勤務が必要か、残業はどれくらいまで可能かなどを具体的に考えておかないと、面接でうまく説明できません。企業側も判断しづらくなり、不採用につながることがあります。精神障害があっても働ける条件を言葉にできるかどうかが、IT転職成功のポイントになります。
③職務経歴が正しく伝わっていない
ITエンジニアの転職では、「何ができるのか」を具体的に伝えることが重要です。
職務経歴書に担当した業務や成果が十分に書かれていないと、強みが伝わりません。開発に関わっただけでなく、どの部分を担当し、どんな工夫をしたのかを書くことが必要です。
精神障害の有無に関係なく、伝え方があいまいだと評価は上がりにくいです。書き方を見直すだけで結果が変わることもあります。
実は“向いていない”のではなく“環境が合っていない”だけ

「自分はITエンジニアに向いていないのでは」と感じていても、原因は能力ではなく環境にあることが少なくありません。
精神障害や発達障害がある場合、配慮のない職場では負担が大きくなります。しかし、働き方や職場を変えるだけで安定して働けるケースもあります。IT転職が無理なのではなく、今の環境が合っていない可能性を一度考えてみることが大切です。
①ITはスキル評価の業界
IT業界は、学歴や年齢よりも「何ができるか」が評価されやすい分野です。
プログラミング経験や開発実績、担当した工程などが重視されるため、精神障害があること自体が直ちに不利になるわけではありません。実際に、障害者雇用でITエンジニアとして働いている人もいます。
重要なのは、自分のスキルを整理し、強みを伝えられる環境で転職活動を行うことです。
②働き方次第で負担は変わる
同じITエンジニア職でも、常駐型か自社開発か、チーム体制や残業時間などによって負担は大きく変わります。
長時間労働や急な仕様変更が多い環境では体調を崩しやすくなりますが、配慮があり、業務量が調整されている職場なら安定しやすいです。精神障害があるから続かないのではなく、働き方が合っていない可能性もあります。
転職で環境を見直すことは有効な選択肢です。
③在宅・時短などの選択肢
近年は在宅勤務や時短勤務に対応するIT求人も増えています。通勤の負担が減るだけでも、体調管理がしやすくなる人は多いです。
障害者雇用枠では、配慮内容を事前に相談できる場合もあります。具体的な求人状況や年収の目安、失敗しない進め方については、障害者雇用でITエンジニアに転職できる?年収は下がる?精神・発達障害でも失敗しない方法で詳しく解説しています。
一般枠にこだわると苦しくなる理由

ITエンジニアとして転職する際、一般枠にこだわると精神障害がある人にとっては負担が大きくなりやすいです。
一般枠は配慮なしが前提で、業務量や働き方も健常者基準で設計されています。その環境で無理を重ねると、体調を崩しやすくなり、結果的に転職を繰り返すことにもつながります。
大切なのは「どの枠で働くか」も含めて戦略を立てることです。
①配慮なし前提の競争
一般枠では、残業や急な業務変更にも対応できることが前提とされる場合が多いです。
精神障害があることを開示しないまま転職すると、周囲と同じ条件で成果を求められます。その結果、無理をしてしまい、体調悪化につながることもあります。
スキルがあっても、配慮がない環境では本来の力を発揮しにくいのが現実です。競争の土俵が合っているかを見極める必要があります。
②体調リスクが考慮されない
精神障害は波があることが特徴です。しかし一般枠では、体調の変動を前提とした働き方が想定されていない場合が多いです。
休職や欠勤が続けば評価に影響しやすく、結果的に自己肯定感を下げてしまいます。体調リスクを無視して転職すると、短期間で再び悩む可能性もあります。安定して働くためには、配慮が前提の環境を選ぶことも一つの方法です。
転職先や職場で精神障害の開示をどのタイミングですべきか、悩んでいる人は以下の記事も参考にしてみましょう。
③年収だけで判断すると失敗しやすい
一般枠のほうが年収が高く見える場合もありますが、条件だけで判断すると失敗しやすいです。
残業時間や業務負担が大きければ、体調を崩し、結果的に収入が不安定になることもあります。長く働き続けられる環境かどうかを基準にすることが重要です。
精神障害がある場合は、年収と同じくらい働きやすさも重視する必要があります。
障害者雇用のIT求人という選択肢

一般枠が合わないと感じる場合、障害者雇用という選択肢があります。
精神障害や発達障害のある人を対象にしたIT求人も存在し、配慮内容を事前に相談できるケースもあります。働き方や業務量を調整しながらスキルを活かせる環境を選ぶことで、安定して働きやすくなります。
転職できる可能性を広げるためにも、枠を限定せず検討することが大切です。
①障害者雇用のIT求人は本当にある?実際の市場動向
「障害者雇用でITエンジニアの求人はほとんどないのでは」と不安に感じる人は少なくありません。しかし、障害者の雇用者数は年々増加しており、企業の採用意欲も高まっています。
実際にプログラマーや社内SE、テスターなどのIT求人も見られます。一般枠より数は限られるものの、精神障害があっても応募できる選択肢は確実に存在します。
具体的な仕事内容や年収、在宅勤務の実例については、精神障害があるITエンジニア向け求人はある?で詳しく解説しています。
②年収はどのくらいか
障害者雇用でITエンジニアに転職する場合、年収は職種や経験年数によって差があります。ただし、IT分野はスキルが評価されやすく、開発経験がある場合は年収300万円〜450万円前後の求人も見られます。単純に「安い・高い」で判断するのではなく、働き方や将来の伸びしろまで含めて考えることが重要です。
「障害者雇用は給料が安い」と言われる背景や、年収を上げる具体的な方法については、障害者雇用の給料が安い理由5つで詳しく整理しています。
③在宅勤務は可能か
IT業界はパソコン業務が中心のため、在宅勤務と相性がよい分野です。実際に障害者雇用の求人でも、週数日のリモート勤務やフルリモートに対応する企業が増えています。
通勤負担が減ることで体調管理がしやすくなり、精神障害のある人にとっては大きなメリットになります。ただし、すべての求人が在宅可能とは限らないため、応募前に働き方の条件を確認することが大切です。
④未経験から目指せるのか
未経験から障害者雇用でITエンジニアを目指すことは不可能ではありませんが、一定の準備は必要です。
たとえば、プログラミング学習の実績や簡単な制作物があると評価されやすくなります。いきなり開発職を目指すのが難しい場合は、テスターやサポート業務から経験を積む方法もあります。
精神障害があっても、段階を踏めばIT転職の道は開けます。焦らず現実的なルートを選ぶことが成功の近道です。
無理かどうかを判断する前に整理すべきこと

「精神障害があるからIT転職は無理」と結論を出す前に、一度立ち止まって状況を整理することが大切です。
落ち続けている原因は能力ではなく、環境や進め方にある場合も多いからです。転職活動は感情に左右されやすいものですが、事実を一つずつ確認すれば見え方は変わります。
無理かどうかは、条件と方法を整理したうえで判断すべきです。
①今の環境が問題なのか
まず考えたいのは、「自分がITエンジニアに向いていない」のか、それとも「今の職場環境が合っていない」のかという点です。
長時間労働や人間関係のストレスが強い環境では、誰でもパフォーマンスは下がります。精神障害がある場合はなおさらです。仕事内容そのものが合わないのか、働き方が合っていないのかを切り分けることで、転職すべきかどうかの判断がしやすくなります。
②配慮があれば働けるのか
次に整理したいのは、「どんな配慮があれば安定して働けるか」です。
たとえば在宅勤務、残業時間の制限、業務量の調整など、具体的な条件を言語化できるかどうかが重要です。精神障害があっても、配慮があれば十分に力を発揮できる人は多いです。
逆に、必要な条件を整理できていないまま転職活動をすると、ミスマッチが起きやすくなります。
③転職できる可能性を客観的に知る方法
自分一人で「無理かもしれない」と考えても、正確な判断は難しいものです。
IT転職の市場状況や障害者雇用の求人動向を知ることで、可能性はより現実的に見えてきます。スキルや経験がどの程度評価されるのか、年収はどれくらいが目安なのかを客観的に確認することが重要です。
感情ではなく情報に基づいて判断することが、後悔しない選択につながります。
一人で悩まず、専門家に相談するという選択肢

「自分は本当にIT転職できるのだろうか」と一人で考え続けると、不安は大きくなるばかりです。精神障害がある場合、求人の選び方や配慮の伝え方など、判断が難しいポイントも多くあります。
無理かどうかを決めつける前に、第三者に整理してもらうことも一つの方法です!
障害者雇用に詳しい転職エージェントであれば、現在のスキルや体調面をふまえて、応募できるIT求人の有無や年収の目安を教えてもらえます。無理に応募を勧められるわけではなく、「今は動くべきかどうか」を含めて相談できます。
たとえば、dodaチャレンジ
は、障害者雇用の転職支援に特化したサービスです。IT職の求人も扱っており、配慮内容の整理や書類のアドバイスも受けられます。
「まだ転職するかは決めていない」という段階でも問題ありません。
まずは専門家から情報を集めてみて、自分に最適な求人探しをしてみましょう。
まとめ
精神障害があるからといって、ITエンジニアへの転職が必ずしも無理というわけではありません。
何社も落ちた経験や不安から「向いていない」と思い込んでしまうこともありますが、原因は環境や進め方にある場合も多いです。一般枠にこだわらず、障害者雇用という選択肢も含めて整理することで、道は広がります。
無理だと決める前に、条件と可能性を一度冷静に見直してみましょう!




