障害者雇用でITエンジニアに転職できるのか。精神障害や発達障害があっても、この先もエンジニアとして働き続けられるのか。年収は下がってしまわないか。
将来への不安を抱えながら、答えを探している方もいるはずです。
この記事では、障害者雇用の制度や企業の本音、年収の仕組み、失敗しやすい落とし穴、そして現実的な転職手順までを整理します。
目次
障害者雇用でITエンジニアに転職は可能か(現実と前提)

結論から言うと、障害者雇用でもITエンジニアとして転職は可能です。ただし「誰でも簡単に」ではありません。
企業が見ているのは、障害の有無そのものではなく、業務を安定して遂行できるか、そしてその根拠を説明できるかです。雇用分野では、事業主には合理的配慮の提供が義務付けられています(過重な負担にならない範囲)。つまり、制度上は「配慮を前提に働く」設計が可能です。
一方で、配慮の具体性や運用は企業ごとに差が出ます。だからこそ転職では、“求人があるか”より“自分が安定する条件を言語化できるか”が勝負になります。
実際の体験談は以下の記事でまとめています。参考にしてみてください。
求人が増える背景(制度と市場の両面)
民間企業の法定雇用率は段階的に引き上げられています(厚生労働省)。2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%へ引き上げ(予定)のため、企業側には採用ニーズが生まれやすい構造があります。
加えてIT業界は人材不足が続き、経産省資料ではIT人材不足が将来さらに拡大する見通しが示されています。この「雇用率の制度」と「IT人材不足」が重なることで、障害者雇用枠でもエンジニア求人が成立しやすくなっています。
ただし、求人がある=条件が良いではありません。企業によっては業務範囲が限定されていたり、時短前提で年収が設計されていたり、配慮の運用が弱いケースもあります。ここを見誤ると入社後に苦労します。
企業が重視するのはスキルより“再現性”
障害者雇用の採用は、スキルだけで決まりません。特に精神障害・発達障害のケースで企業が気にするのは「安定稼働」です。採用側の不安は、能力不足よりも「体調の波でプロジェクトが回らなくなるのでは」という点に寄りがちです。
だから、評価されるのは“再現性”です。例えば「Java5年」より「基本設計〜テストまで、月次リリースのチームで継続的に担当。1日7時間勤務なら直近2年は欠勤ゼロ」のほうが圧倒的に強い。要は、条件と実績をセットで語れるか。これは障害を説明するのではなく、働き方を提案するという考え方です。
実際に障害者雇用で働くエンジニアの相談事例を見ていても、「安定して働ける条件を言語化できる人」は内定率が高い傾向があります。
例:勤務時間、在宅比率、通院頻度、業務量の上限、苦手な業務負荷)
職種(開発/インフラ/社内SE)で負荷が違う
同じITエンジニアでも、負荷の種類が違います。開発は納期プレッシャーや仕様変更が負荷になりやすく、インフラは障害対応やオンコールがハマると負荷が跳ねます。社内SEは比較的安定しやすい一方、調整業務や問い合わせ対応が多い会社もあります。
重要なのは「自分の苦手な負荷」を把握することです。例えば対人調整が疲れるなら、社内SEが必ずしも最適とは限りません。逆に納期プレッシャーが苦手なら、受託開発より社内プロダクトの保守改善が合うことがあります。求人票の職種名ではなく、実態(残業、突発対応、調整頻度)で判断します。
障害者雇用のITエンジニア年収は下がるのか(決まり方と相場)

「障害者雇用=年収が大幅に下がる」と決めつけるのは早いです。確かに時短や残業不可が前提なら、物理的に下がるケースはあります。ただ、ITはスキル評価が働きやすい職種でもあり、職種・工程・稼働条件・企業の評価制度でレンジが大きく変わります。
見るべきは年収総額だけではなく、時間単価と持続可能性です。無理して年収を取りにいって崩れるより、安定稼働でスキルを積み上げた方が、結果的に市場価値を守れることは普通にあります。
障害者雇用ITエンジニアの年収については、「障害者雇用のITエンジニアの年収は下がる?実体験から相場と上げる方法を解説」の記事で詳しく解説しています。
年収が決まる4要素(職種・工程・稼働条件・評価制度)
年収が決まる要素は次の4つです。
- 職種(開発/インフラ/QA/社内SE等)
- 担当工程(要件定義・設計・実装・運用)
- 稼働条件(フルタイム/時短/残業可否)
- 評価制度(成果主義か、等級制度か)
同じ「エンジニア」でも、設計や改善に関われるか、運用保守中心かでレンジが変わります。ここで重要なのは「できる」より「任せられる」を言語化することです。
面接ではどこまで自走できるかを見られます。例えば、設計レビュー経験、見積もり、運用改善提案、障害時の切り分け経験などがあると、役割が広がり年収交渉の土台になります。
下がるケース/下がらないケース(現実的な整理)
下がりやすいのは、時短+業務範囲の制限が大きいケースです。例えば「突発対応不可」「対人調整不可」「業務量は常に軽め」など制約が多いと、企業側はアサイン幅が狭くなり、年収上限が抑えられやすい。
一方で、下がりにくいのは「稼働は制約があるが、成果の再現性が高い」ケースです。
例えば「残業不可だが、日中の集中力が高く、設計〜実装を安定して回せる」「定型の改善を継続して出せる」など。ポイントは、制約をマイナス情報で終わらせず、代替案に落とすことです。
時短は「時間単価」で評価する(シンプルな計算)
年収比較は、時間単価の視点が必須です。例えばフルタイム(8h)で年収520万、時短(7h)で年収460万だとします。総額は下がっていますが、労働時間が約12.5%減っているなら、時間単価は必ずしも悪化していません。
さらに、時短で体調が安定し、欠勤が減り、アウトプットが安定するなら、昇給や職域拡大の土台になります。逆に、無理してフルタイムにして崩れたら、年収は一気にゼロ側へ落ちるリスクがあるでしょう。
年収を見るときのチェック観点
| 観点 | 見るポイント | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 職種 | 開発/インフラ/社内SE/QA | 負荷の種類が違う |
| 工程 | 設計〜実装 or 運用中心 | レンジが変わる |
| 稼働条件 | フルタイム/時短/残業不可 | 総額に直結 |
| 配慮 | 通院/在宅/業務量/面談 | 安定稼働に直結 |
| 評価制度 | 目標設定・昇給基準 | 上がる道があるか |
年収や配慮の実態は求人票だけでは分かりません。
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失敗しやすいパターン(キャリアが止まる原因)

障害者雇用転職の失敗は、能力不足よりも判断ミスで起きます。多いのは働きやすさだけで選ぶこと、配慮を曖昧にしたまま入社すること、求人票の文面だけで判断することです。
ミスマッチを避けたいなら、企業への事前確認が重要です。
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障害者雇用は配慮を受けること自体が目的ではなく、安定して働き続けるための手段です。短期的に楽な環境に逃げると、数年後にスキルが伸びず詰むことがあります。転職は環境改善とキャリア維持の両立が本質です。
上の3つは、どれも「入社前に確認していれば防げた」ケースが多いです。順番に整理します。
働きやすさだけで選ぶと「IT事務化」しやすい
エンジニア経験があるのに、負荷を恐れて「IT事務・サポート中心」に寄ると、成長機会が減りやすいです。もちろん、その選択が必要なタイミングもあります。
ただ、目的がエンジニアとして働き続けるなら、最初から職域が狭い求人は慎重に見た方がいい。
対策はシンプルで、求人比較のときに「設計や改善があるか」「開発環境に触れるか」「レビューや仕様理解に関われるか」を必ず確認しましょう。たとえ運用中心でも、改善提案や自動化が許されている環境なら、エンジニアとして伸ばせます。
配慮を曖昧にすると入社後にズレる
「配慮します」と言われても、その中身が曖昧だと事故ります。勤務時間、残業の扱い、通院配慮、在宅可否、業務量調整のプロセス、体調不良時の連絡フローなど、運用に落ちる形で合意しておくべきです。
ただし、具体的な落とし込みは対話で決まります。だから「言った言わない」を防ぐため、面接や内定後の段階で文章化しておくのが安全です。エージェントを使う価値が出るのはここでしょう。
求人票だけで判断すると「実態」が読めない
求人票は理想が書かれます。実態は別です。例えば「残業少なめ」とあっても、繁忙期の実残業が多い会社はあります。
配属チームによって文化も違う。だからこそ、確認すべき質問を持つ必要があります。
「障害者雇用での配属実績」「配慮が機能した例」「評価のされ方」「残業が発生した場合の扱い」など、実態を引き出す質問が重要です。ここでも、エージェントが企業に事前確認してくれるとミスマッチが減ります。
専門エージェントを使うべき理由

障害者雇用の転職は、情報の質で勝負が決まります。求人票だけでは、配慮の実態・評価の実態・残業の実態が見えにくいですし、ここでミスると入社後に崩れます。
専門エージェントの価値は、非公開求人だけではありません。企業への事前確認、条件交渉の代行、面接対策、入社前のすり合わせまで一気通貫で支援してもらえる点にあります。特に年収交渉や配慮内容の確認は、自分でやると心理負担が大きいので、代行してもらえるメリットは大きいです。
dodaチャレンジの位置づけ
障害者雇用の転職は、通常の転職よりも「事前確認」が重要になります。求人票には、配慮の実態や評価の仕組み、残業の扱いまでは詳しく書かれていないことが多いからです。
dodaチャレンジは、障害者雇用専門の転職支援サービス(エージェント)として案内されています。障害者雇用に精通した担当者が、求人紹介だけでなく、年収交渉や配慮内容の確認、面接対策までサポートする体制をとっています。
つまり、「求人を紹介する」だけでなく、「その求人が本当に自分に合うのか」を一緒に検証できるのが特徴です。配慮の運用実態や、入社後の働き方まで確認できるため、ミスマッチの確率を下げやすくなります。
行動を小さくする(相談=転職ではない)
悩んでいる人ほど、行動のハードルは高くなります。だからこそ、最初の一歩は小さくて構いません。
転職を急ぐ必要はありません。市場感、求人の傾向、配慮の通りやすさ、年収レンジを知るだけでも不安は大きく減ります。実際、相談してみた結果「今は転職しない」という判断になることもあります。それでも問題ありません。
条件交渉や配慮の確認を一人で抱え込むと、想像以上に消耗します。
「どこまで言えばいいのか」
「言い過ぎて不利にならないか」
「年収が下がるのではないか」
こうした不安を一人で整理するのは簡単ではありません。だからこそ、転職を決める前に「相談する」という選択肢があります。
こんな人に向いています
- 障害者雇用でITエンジニア転職を検討している
- 合理的配慮の内容を事前に確認したい
- 年収をできるだけ維持したい
| 項目 | dodaチャレンジ |
|---|---|
| 対応領域 | 障害者雇用専門 |
| ITエンジニア求人 | あり(非公開求人含む) |
| 年収交渉 | エージェントが代行 |
| 配慮内容の確認 | 企業へ事前確認可能 |
| 利用料金 | 無料 |
転職を急ぐ必要はありません。まずは情報収集からでも大丈夫です。
精神障害・発達障害があるITエンジニアの転職【Q&A】

精神障害や発達障害があるITエンジニアの場合、転職活動で悩みやすいポイントはある程度共通しています。ここでは、実際に多い疑問を整理します。
障害はどこまで開示すべき?
障害者雇用で応募する場合は、原則として障害の開示が前提になります。ただし重要なのは「診断名」よりも「業務に影響する特性」と「必要な合理的配慮」を具体的に説明することです。
企業が知りたいのは、働き方の設計と再現性です。過去に安定して働けた条件を中心に伝えることで、評価は大きく変わります。
障害者手帳がないと応募できない?
原則として障害者雇用枠では障害者手帳が必要です。ただし、申請中の場合や取得予定の場合でも相談可能なケースがあります。詳細は求人ごとに異なるため、事前確認が重要です。
リモート勤務は可能?
ITエンジニア職は比較的リモート勤務と相性が良い職種です。ただし「完全在宅可」と書かれていても、実態はチームや業務内容によって異なります。障害者雇用の場合は、在宅勤務の実績や配慮運用の具体例を確認しておくと安心です。
まとめ
障害者雇用でITエンジニアに転職することは可能です。ただし勝負は「気合」ではなく「設計」です。
自分が安定する条件を言語化し、求人の実態を見極め、面接で再現性を示す。これができると、年収や配慮の不安は現実的な論点に変わります。転職を急ぐ必要はありません。まずは情報収集から始めて、選択肢を増やしてみましょう。
不安を抱えたまま悩み続けるより、一度だけでも市場を確認してみてください。相談は無料で、合わなければ断ることもできます。
「今すぐ転職」ではなく、「選択肢を持つ」ための一歩です。


