「障害者雇用のITエンジニアの年収は下がるの?」
精神障害を抱えながら働いている、あるいは今後は障害者雇用も視野に入れているITエンジニアにとって、年収はかなり現実的な悩みだと思います。生活費、貯金、通院費、体調が崩れたときの備え、将来の働き方まで、年収はほぼ全部につながってくるからです。
結論から言うと、障害者雇用のITエンジニアの年収は「一律に下がる」わけではありません。ただし、合理的配慮として勤務時間の短縮や業務量の調整を受ける場合、年収が物理的に下がるケースは普通にあります。ここを「能力が低いから」と混同すると判断を誤るので、まずは構造から整理します。
目次
障害者雇用のITエンジニアの年収が決まる仕組み

ITエンジニアの年収は、基本給だけで決まっていないことが多いです。実務では、基本給に加えて残業代、役割手当、プロジェクト手当、評価に連動した賞与などが合算されて年収ができています。つまり「働き方(労働時間・負荷・担当範囲)」が変われば、年収の構成要素が変わり、結果として年収レンジも変わります。
精神障害の場合は、合理的配慮で時短勤務や残業免除になることがあります。これは働きやすさに直結する一方で、残業代が常態化していた職場では年収に影響が出やすいです。ここは悲観するよりも、「年収をどこで取り戻すか(基本給を上げる/評価を上げる/単価の高い職務に寄せる)」という設計の話になります。
障害者雇用のITエンジニアの年収は下がる?実体験ベースのリアル
私自身、勤務時間を1時間短縮しました。その結果、短縮された時間分だけ給与は少し下がりました。これは評価が落ちたとか、能力が否定されたとかではありません。単純に「労働時間が減った」という事実が年収に反映された形です。
ここで重要なのは、年収が下がること自体よりも「なぜ下がったのか」を言語化できることです。時短で下がったのなら、将来的に体調が安定して稼働時間が戻る可能性もあります。あるいは時短のままでも、短時間で価値を出せる領域に寄せて評価を上げることもできます。原因が分かれば対策が立つので、年収の変動でメンタルが持っていかれにくくなります。
年収が下がりやすい典型パターン
この3つは「ありがちな落とし穴」です。ただし、これは必ずしも悪いことではありません。無理をして高年収を維持するより、安定して働き続けることのほうが長期的なキャリア形成につながることもあります。
障害者雇用ITエンジニアの年収相場と平均年収の考え方
障害者雇用のITエンジニアの年収相場は、求人ベースで見るとおおむね300万円台から600万円台に分布している印象です。もちろん地域、企業規模、職種(開発・インフラ・社内SE・QAなど)で差が出ます。
ここで一つ注意点があります。「平均年収」を見て落ち込む人がいますが、平均は“職務の混ざり物”です。障害者雇用の求人には、ITエンジニア職だけでなくIT事務やサポート寄りのポジションも含まれやすいので、平均だけで判断すると実態とズレます。年収を見るときは、必ず職務内容(何をやる仕事か)とセットで見るのが安全です。
相場を見るときに確認すべき観点
同じ「ITエンジニア」でも、設計や改善を担当できるか、運用保守中心かで年収レンジは変わります。障害者雇用でもスキルが評価される会社はありますし、逆にIT事務寄りの職務が中心なら年収は抑えめになりやすいです。
年収や働き方のリアルは、制度だけでは見えてきません。
実際に精神障害を開示してITエンジニアとして働いている体験は、精神障害を開示して働くITエンジニアの体験談で詳しくまとめています。
年収が下がるケースと下がらないケース

年収が下がりやすいケースと、維持・向上しやすいケースをご紹介します。
年収が下がりやすいケース
時短勤務や配慮の内容によっては、年収は下がりやすくなります。代表例は「労働時間そのものが減る」「残業ができない前提になる」「責任範囲が限定される」の3つです。特に残業代が大きい会社だと、残業免除だけで年収差が出ます。
年収が維持・向上しやすいケース
一方で、勤務時間に制約があっても「仕事の価値」を上げられると年収は維持・向上しやすいです。ここでいう価値は、単にコードを書く量ではなく、チーム全体の生産性や品質に効く成果も含みます。
例えば「不具合を減らして問い合わせ対応を半分にした」「リリース作業を自動化して工数を削減した」などは、勤務時間が短くてもインパクトが大きい成果です。こういう成果が積めると、時短でも評価されやすく、年収レンジが上がる可能性があります。
障害者雇用でもITエンジニアの年収を上げる現実的な戦略

「時短だから年収は上がらない」と決めつけるのは早いです。IT業界は成果が比較的見えやすいので、短い時間でも価値を出せる領域に寄せると評価が上がりやすいです。ここでは、現実的に効きやすい戦略を3つに絞ります。
戦略① 短時間で価値が出る領域に寄せる
障害があると「長時間働けない」場合があります。だからこそ、長時間労働でカバーするのではなく、短時間でも成果が出る仕事へ寄せたほうが合理的です。具体的には自動化、品質改善、設計のように、1回の改善がずっと効き続ける領域が向いています。
戦略② できることを“成果の言葉”に翻訳する
年収交渉や評価で強いのは「頑張った」ではなく「何がどう改善されたか」です。たとえば「テストを整備した」では弱いですが、「リリース後の不具合件数が月10件→月3件に減った」「手戻り工数が減ってチームの残業が減った」のように、効果を言語化すると評価されやすくなります。
戦略③ 企業選びで“評価の土台”を整える
同じスキルでも、評価制度が整っていない会社では年収に反映されません。逆に、評価軸が明確な会社では、合理的配慮があっても成果で評価されやすいです。つまり年収を上げるには、努力だけでなく「反映される仕組みのある会社」を選ぶことも重要です。
一般雇用と障害者雇用のITエンジニア年収の違い

一般論として、年収上限は一般雇用の方が高い傾向があります。一方で、障害者雇用は合理的配慮が前提になりやすく、働きやすさや継続性が上がりやすいというメリットがあります。
精神障害の場合、短期的に年収だけを追うと、体調悪化→パフォーマンス低下→評価低下→離職という負のループに入るリスクがあります。逆に、少し年収が落ちても働きやすい環境で継続してスキルを積む方が、長期的に年収が伸びるケースもあります。
年収だけで転職を決めると失敗しやすい理由

年収は重要ですが、それだけで環境を選ぶと失敗する可能性があります。年収が高くても、配慮が曖昧だったり、実態として高負荷で回っていたりすると、結局続かないことがあります。続かなければキャリアが途切れやすくなり、次の転職で不利になることもあります。
転職前に確認したいチェック項目
もし今の環境が合わないと感じているなら、次の一歩として「障害者雇用でITエンジニアに転職する方法」を先に把握しておくと、年収と働きやすさのバランスを取りやすくなります。
具体的な進め方は、障害者雇用でITエンジニアに転職する方法にまとめています。
よくある質問(障害者雇用×IT年収)
時短勤務だと年収は必ず下がりますか?
多くのケースで物理的に下がります。ただし「下がり方」は会社の給与体系によって変わります。時間給の考え方が明確な会社もあれば、職務給(役割給)として一定額を維持する会社もあります。入社前に、給与が「労働時間比例」なのか「役割比例」なのかを確認できると安心です。
障害者雇用だと評価は不利になりますか?
会社次第です。配慮があること自体が不利というより、評価基準が曖昧な会社だと不公平感が出やすいです。逆に評価制度が整っている会社では、合理的配慮があっても成果に基づいて評価されやすいです。面接では「評価の見られ方」「評価面談の頻度」「評価の具体例」を聞けると強いです。
年収を上げたいなら何を優先すべき?
精神障害の場合は、まず「継続できる稼働」を作るのが優先です。継続できる状態ができたら、次に専門性(強み)を作り、その強みが活きる会社に寄せる、という順が現実的です。年収は一気に上げようとするとリスクが出やすいので、段階的に上げるほうが成功確率は上がります。
私自身も、勤務時間を短縮して年収が少し下がったときは「このままで大丈夫かな」と不安になりました。ただ、精神障害がある場合は、無理をして年収を維持するより、安定して働ける状態を作る方が長期的には得をしやすいです。
障害者雇用のITエンジニアは、継続してスキルを積み上げられれば年収レンジを上げる余地があります。まずは体調とパフォーマンスを安定させ、その上で専門性(得意領域)を伸ばしていく、という順番で考えると現実的です。
まとめ:障害者雇用のITエンジニア年収は“設計”で変わる
障害者雇用のITエンジニアの年収は、一律に低いわけではありません。勤務時間や業務負荷の調整が入るなら、短期的には年収が下がる可能性はあります。それでも、継続してスキルを積み上げられる環境を選べば、長期的に年収を上げることは十分可能です。
転職の具体的な進め方(求人の探し方、配慮の確認方法、失敗しやすいポイント)を知りたい場合は、障害者雇用でITエンジニアに転職する方法も参考にしてください。


