障害者雇用の給料が安い理由

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障害者雇用は給料が安いと言われることがあります。しかし、本当に一律で低いのでしょうか。

実は年収が下がりやすい背景には、職域の制限、短時間勤務、評価制度の違いなど複数の要因があります。

本記事では、障害者雇用の給料が安い理由を整理し、精神障害があるITエンジニアを想定した年収の実態と改善策まで具体的に解説します。

障害者雇用の給料が安いと言われる理由

障害者雇用の給料が安い
障害者雇用の給料が安い理由は、個人の能力というより会社ごとの仕組み雇用区分による影響が大きいです。

厚生労働省の障害者雇用実態調査(令和5年)では、精神障害者のうち約53%が時給制で働いており、週30時間未満の短時間勤務者も一定割合存在しています。

主な理由は次の4つです。

  • 職域が限定されやすい
  • 短時間勤務・残業制限の影響
  • 評価制度が安定勤務重視になりやすい
  • 企業側のリスク管理設計

それぞれ具体的に解説します。

① 職域が限定されやすい

障害者雇用では、配慮を前提とした配置が行われるため、事務補助や定型業務など比較的負荷の低い職種に配属されるケースがあります。実際の求人例を見ると、

職種 想定年収
事務補助 250万円~320万円
IT運用補助 280万円~350万円
開発エンジニア(専門職) 380万円~500万円

このように、職種によって給料の目安は大きく変わります。専門職や管理職と比べると、補助業務は給料の上限が低めに設定されやすく、年収が伸びにくい傾向があります。

ITエンジニアでも、開発より運用補助に寄ると年収差が出ることがあります。

② 短時間勤務・残業制限の影響

合理的配慮として時短勤務や残業制限が設定されると、総支給額は自然に下がります。これは評価が低いのではなく「働く時間の違い」によるものです。

  1. フルタイム(1日8時間)
  2. 時短勤務(1日6時間)
  3. 残業月30時間あり
  4. 残業ほぼなし

この違いだけでも、もらえる年収は大きく変わります。単純比較ではなく、勤務条件をそろえて見ることが重要です。

③ 評価制度が安定勤務重視になりやすい

障害者雇用では、成果よりも「安定して働けること」を重視する評価制度が採用されることがあります。

  • 急激な昇給よりも安定雇用を優先
  • 成果報酬型ポジションが少ない
  • 昇進ルートが限定されやすい

そのため、一般枠と比べると給料の伸び方がゆるやかになる傾向があります。

④ 会社ごとの働き方の設計

企業は合理的配慮やサポート体制を整える必要があります。そのため、業務負荷を調整したポジションを設けることがあります。

一般枠 障害者雇用枠
成果・スピード重視 安定勤務重視
残業・突発対応あり 負荷調整前提
昇給幅が大きい場合あり 昇給は緩やか

この違いが、給料が安いと言われる背景の一つです。

本当に生活できないほど低いのか

本当に生活できないほど低いのか
障害者雇用は給料が安い=生活できないというイメージがありますが、一律にそうとは言えません。平均賃金は職種・勤務時間・雇用形態によって大きく異なります。

たとえばフルタイム勤務と時短勤務では月収が大きく変わります。まずは平均ではなく、自分の働き方に近い条件で見ることが重要です。

詳細な年収の幅やIT職の実態については、精神障害ITエンジニア年収ガイドで整理しています。重要なのは、平均ではなく「自分の条件」で判断することです。

① 精神障害者の平均賃金データ(厚労省調査)

厚生労働省の障害者雇用実態調査結果報告書によると、精神障害者の1ヵ月の平均賃金は14万9千円(所定内給与額は14万6千円)となっています。

週所定労働時間別の平均賃金は次の通りです。

週所定労働時間 平均月額賃金
30時間以上 19万3千円
20時間以上30時間未満 12万1千円
10時間以上20時間未満 7万1千円
10時間未満 1万6千円

このデータから分かる通り、給料の差を生んでいる大きな要因は労働時間です。

仮に月19万円前後であれば、家賃や生活費の水準によっては一人暮らしも可能なケースがあります。一方、時短勤務の場合は収入設計を慎重に考える必要があります。

重要なのは「障害者雇用だから低い」のではなく、「勤務条件によって差が出ている」という点です。

② 賃金形態と勤続年数の実態

同調査では、賃金の支払形態は次のようになっています。

  • 月給制:43.4%
  • 時給制:53.6%
  • 日給制ほか:少数

時給制が半数以上を占めているため、働く時間がそのまま月収に反映されやすい構造です。月給制と比べると、残業や労働時間の違いが年収に直結します。

一方で、精神障害者の平均勤続年数は5年3か月とされています。これは長く働いている人も一定数いるという事実を示しています。

つまり、安定して働ける環境を選べば、継続的な収入は十分に現実的と言えます。

③ IT職は年収の幅が広がる可能性がある

ITエンジニアは専門性が評価されやすい職種です。開発経験やクラウド構築、社内SE業務などを担当する場合、障害者雇用でも年収400万円以上の求人は実際に存在します。

年収が伸びやすい条件には次のようなものがあります。

  1. 開発工程を担当している
  2. AWSやAzureなどクラウド経験がある
  3. 社内SEや自動化など専門性がある
  4. フルタイム勤務が可能

IT職は「補助業務中心」か「専門職として採用されるか」で大きく差が出ます。

給料が安い理由は構造的ですが、職種の選び方と勤務形態によって、もらえる年収は大きく変わります。

給料を上げるためにできること

給料を上げるためにできること
障害者雇用の給料が安い理由を理解したうえで、次に考えるべきはどうすれば年収を上げられるかです。会社の仕組みや勤務条件には一定の制約がありますが、職種の選び方や働き方によって収入は変わります。

精神障害があるITエンジニアでも、環境の選び方で年収は変わります。より具体的な求人の探し方や、実際の年収目安を知りたい方は、障害者雇用でITエンジニアに転職する方法をまとめた記事も参考にしてください。

① 専門性のある職種を選ぶ

単純作業や補助業務よりも、専門性が評価される職種を選ぶことで年収は上がりやすくなります。ITエンジニアの場合、担当領域によって想定年収は大きく変わります。

  • Web・業務系開発(設計〜実装)
  • 社内SE・情報システム担当
  • 自動化・クラウド運用(AWSなど)

「できること」ではなく「企業が高く評価するスキル」を基準に選ぶことが重要です。補助業務中心か、専門職として採用されるかで給料の上限は変わります。

② フルタイム勤務を目指す

前述のデータからも分かる通り、労働時間は収入に直結します。可能であればフルタイム勤務を目指すことで年収の水準は上がります

勤務形態 年収への影響
時短勤務 基本給が低くなりやすい
フルタイム 賞与・昇給対象になりやすい

もちろん無理は禁物ですが、「安定して働ける条件」を整えたうえで勤務時間を確保できれば、昇給の機会も増えます。

③ 年収を上げやすい4つの要素

年収を上げるためには、企業の評価基準に沿った強みを持つことが重要です。特に次の4点は年収に直結しやすい要素です。

  1. 担当工程を上流(設計・要件定義)に広げる
  2. AWSや自動化など専門スキルを持つ
  3. 成果を数値で説明できる(例:工数削減◯%)
  4. 安定して勤務している実績を示す

障害者雇用でも、専門性と継続性があれば評価は上がります。

④ エージェントを活用して条件を見極める

求人票だけでは、実際の年収目安や評価制度、合理的配慮の内容までは分かりません。障害者雇用に理解のある転職エージェントを活用することで、条件のすり合わせがしやすくなります。

  • 非公開求人の紹介
  • 年収や配慮内容の事前確認
  • 条件交渉のサポート

サービスの違いについては、転職エージェント比較記事を参考にしてください。

年収を変えるなら環境選びが重要

年収を変えるなら環境選びが重要
障害者雇用の給料が安い理由は、会社ごとの仕組みや職種の設計にあります。しかし、すべての企業が低いわけではありません。評価の考え方や職種の位置づけ、勤務形態によってもらえる年収は大きく変わります。

重要なのは「制度そのもの」よりも「どの企業を選ぶか」です。同じ障害者雇用でも、企業の考え方次第で収入の水準は変わります具体的な転職の進め方は障害者雇用でITエンジニアに転職できる?で詳しく解説しています。

① 年収が高い企業の3つの特徴

障害者雇用でも年収が高い企業には共通点があります。

  • 専門職として採用している(補助業務ではない)
  • 成果やスキルを評価する仕組みがある
  • フルタイム勤務を前提にしている

「配慮前提の補助業務」ではなく、「スキル前提の専門職採用」をしている企業を選ぶことが年収アップにつながります。

② 求人票で確認すべきポイント

企業選びで失敗しないためには、求人票の読み方が重要です。特に次の点を確認します。

  1. 想定年収の上限と下限
  2. 昇給・賞与の有無
  3. 配属職種が補助業務か専門職か
  4. 残業時間と勤務形態

年収は基本給だけでなく、賞与や昇給制度で決まります。条件を細かく見ることで「伸びる企業」と「伸びにくい企業」の違いが見えてきます。

③ 転職で年収が上がるケース

実際に年収が上がるケースには、いくつかのパターンがあります。

ケース 変化の内容
職種変更 補助業務 → 専門職
勤務時間変更 時短 → フルタイム
評価制度変更 固定型 → 成果評価型

障害者雇用の給料が安い理由は構造的ですが、働く環境を変えることで、もらえる年収は上げられる可能性があります。

FAQ

Q1. 障害者雇用は必ず給料が安いですか?

一律ではありません。職種、勤務形態、企業規模、評価制度によって差があります。特に専門職採用やフルタイム前提のポジションでは、一般枠と大きな差が出ないケースもあります。

Q2. 一般枠と同じ給料になることはありますか?

成果評価型企業やITエンジニアのようにスキルが評価されやすい職種では、同水準になる可能性はあります。重要なのは「補助業務」ではなく「専門職」として採用されるかどうかです。

Q3. 年収400万円は現実的ですか?

開発職や社内SEなど専門性があれば十分に現実的です。ただしフルタイム勤務と、昇給制度が整っている企業を選ぶことが前提になります。

Q4. 転職しないと年収は上がりませんか?

社内昇給の可能性もありますが、評価制度が固定型の場合は大きな伸びは期待しにくい傾向があります。市場価値が上がったタイミングでの転職は有効な選択肢の一つです。

まとめ

障害者雇用の給料が安い理由は、会社ごとの仕組み・職域設計・勤務形態の違いにあります。しかし、すべての企業が低いわけではありません。

  • 専門職として評価される職種を選ぶ
  • 昇給・賞与の仕組みを確認する
  • 安定して働ける環境を選ぶ

仕組みを理解し、企業選びを見直すことで、もらえる年収は変わります。大切なのは「障害者雇用だから仕方ない」と思わないことです。

もし「今の会社では年収が伸びにくい」と感じているなら、専門職前提で求人を紹介してくれるサービスを活用するのも一つの方法です。

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