「精神障害があっても、ITエンジニアとして働ける求人はある?」
結論から言えば、求人は実在します。
厚生労働省 障害者雇用状況の集計結果によると、民間企業で働く障害種別全体は70万人を超え、実雇用率も過去最高を更新しています。特に精神障害者の雇用人数は近年増加傾向にあります。
しかし、実際に求人票の読み方を誤り「思っていた仕事内容と違った」「配慮が十分でなかった」「想定より年収が低かった」というケースは少なくありません。
本記事では、dodaに掲載されている障害者雇用求人を事例化しながら、次のポイントを具体的に解説します。
表面的な情報ではなく、「実際に転職で差がつくポイント」に焦点を当てます。
目次
精神障害があるITエンジニア向け求人は実在する【doda事例】

精神障害がある方を対象としたITエンジニア求人は、実際に複数存在しています。
特に人材不足が続くIT分野では、障害者雇用枠でもエンジニア職の採用を行う企業が増加傾向にあります。ただし、求人の多くは新規開発よりも保守運用や既存改修など、安定性を重視した業務が中心です。
ここでは、掲載職種・雇用形態・市場傾向の3点から整理します。
掲載されている職種例(事例化)
dodaでは、以下のような職種が実際に掲載されています。
特に多いのは既存システムの改修や保守運用など、業務範囲が比較的明確で負荷調整がしやすいポジションです。
新規プロダクトの立ち上げよりも、既存環境の安定運用を担う役割が中心となっています。企業側も定着を重視する傾向が強く、急激な業務負荷が発生しにくい職種が選ばれやすいのが特徴です。
雇用形態と勤務条件の傾向
多くの求人では契約社員スタートや嘱託社員採用が採用されています。ただし、正社員登用制度を設けている企業が多く、段階的に安定雇用へ移行する仕組みを取るケースが一般的です。
また、フレックスタイム制度や時短勤務制度を設けている企業も少なくありません。これは通院配慮や体調変動への対応を前提とした設計であり、いきなりフルタイム固定ではなく柔軟な働き方を認める企業が増えていることを示しています。
市場傾向まとめ
求人全体を見ると、経験者向けの募集が中心です。未経験枠も存在しますが、多くはテスト補助や運用補助などのポジションからスタートします。
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| 求人タイプ | 経験者中心 |
| 未経験求人 | 補助業務スタートが多い |
| 在宅率 | 一部あり(完全は少数) |
| 雇用形態 | 契約→正社員が多い |
在宅勤務は一部で可能ですが、完全フルリモートは限定的です。IT人材不足が続く中で、企業はスキル保有者を求めています。経済産業省のIT人材需給に関する調査でも、将来的なIT人材不足が指摘されています。
doda求人票を読み解く【事例】

求人票は事実をそのまま書いているわけではありません。企業側の表現には幅があり、同じ文言でも意味合いが異なる場合があります。
特に障害者雇用枠では、業務内容や配慮事項の表現が曖昧なケースもあります。業務内容の典型パターン、合理的配慮の記載、注意すべき表現の3点から具体的に解説します。
業務内容の典型パターン
よく見られる表記として以下の内容が挙げられます。
重要なのは、その業務が開発工程のどこに位置するかを見極めることです。設計や要件定義を含む上流工程であれば年収は高めになりやすく、テストや運用中心であれば年収は抑えられる傾向があります。
求人票に工程が明示されていない場合は、面接で必ず確認するようにしましょう。
合理的配慮の記載例
多くの求人では、以下のような記載が見られます。
配慮が具体的に書かれている求人は比較的安心です。ただし、制度があることと実際に運用されていることは別と考えましょう。
具体的な配慮事例や、過去の受け入れ実績を確認することが重要です。
厚生労働省も合理的配慮の提供を義務としていますが、実際の現場運用には企業差があります。
注意すべき表現
「IT関連業務全般」「スキルに応じて業務調整」「詳細は面接時」といった表現は注意が必要です。業務範囲が明確でない場合、想定外の業務を任される可能性があります。
特に体調管理が重要な方にとって、業務の不確実性はリスクとなります。曖昧な求人ほど、具体的な業務範囲・評価基準・残業実績を確認することが不可欠です。
年収の幅のリアル【中央値+年収の目安】

年収は転職判断の大きな要素です。障害者雇用枠であってもIT職は専門職であり、一定の水準が期待できます。ただし一般枠と比較するとやや低めに設定される傾向があります。
年収データはdodaの平均年収データや転職市場データを参考にしています。
ITエンジニア全体の平均年収は約460万円とされています。障害者雇用枠では安定性重視の設計となるケースが多く、一般枠と比較するとやや低めの水準からスタートする傾向があります。
求人の探し方や、どの転職エージェントを使うべきか迷っている方は、精神障害×ITエンジニア向け転職エージェント比較もあわせて確認してください。
未経験帯
未経験の場合、年収の目安はおおよそ250万円から350万円程度が目安となります。中央値は約300万円前後です。
これはIT職全体平均よりも低い水準ですが、テスト補助や運用補助からスタートするケースが多いことが影響しています。スキル習得と実務経験の積み上げが年収上昇の鍵となります。
経験者帯
開発経験が3年以上ある場合、年収の幅は350万円から550万円程度が現実的です。中央値は約420万円前後と想定されます。
クラウドや設計工程の経験がある場合はさらに上振れする可能性があります。IT人材不足の背景もあり、スキルが明確であれば障害者雇用枠でも一定の評価は得られます。
年収比較テーブル
| 経験 | 想定年収 | 中央値目安 |
|---|---|---|
| 未経験 | 250〜350万 | 約300万 |
| 1〜3年経験 | 320〜450万 | 約380万 |
| 3年以上 | 400〜550万 | 約420万 |
年収を下げずに転職する方法や、実際に年収を上げている人の共通点は、精神障害があるITエンジニアの年収を下げない転職戦略で詳しく解説しています。
在宅・フルリモート求人の実情

在宅勤務は精神障害のある方にとって大きな関心事項です。通勤負荷の軽減や人間関係ストレスの回避など、働きやすさに直結する要素だからです。
実際に在宅勤務可能なIT求人は存在しますが、「完全フルリモート」は少数派であり、一定の条件付きで認められているケースが多いのが実情です。
在宅求人を効率よく探すには、専門エージェントの活用が近道です。詳しくは転職エージェント比較記事で解説しています。
ここでは、実際のパターンと注意点を整理します。
実際にあるパターン
在宅勤務可能とされる求人でも内容はさまざまですが、代表的なのは次の内容が多い傾向にあります。
完全フルリモートを明示している求人は存在しますが、応募が集中しやすく競争率が高い傾向があります。
また、チーム連携が前提の職種では、オンライン会議やチャット対応が頻繁に発生する点も理解しておく必要があります。
在宅でも負荷が高まるケース
在宅勤務は通勤負荷を減らせる一方で、別のストレスが生じることもあります。
たとえば、チャット中心のコミュニケーションで常時応答を求められる環境や、成果のみで評価される完全成果主義型の企業では、心理的負担が増すことがあります。
また、業務量が見えづらく自己管理が難しいケースもあります。在宅という形式だけでなく、業務設計や評価基準を確認することが重要です。
doda経由応募のメリットと限界

dodaは国内大手転職サービスの一つであり、IT職種の求人数も豊富です。障害者雇用専門窓口も設置されており、一定のサポート体制があります。
ただし、すべてのケースで最適とは限りません。担当者との相性や専門性の違いによって、提案の質が変わることもあります。
ここからは、利用する上での利点と注意点を整理します。
メリット
dodaはIT求人の母数が多く、職種別の求人検索がしやすいという強みがあります。また、障害者雇用専門チームが存在するため、開示前提での転職相談が可能です。
職務経歴書の添削や面接対策などのサポートも受けられます。大手ならではの企業ネットワークを活かし、非公開求人にアクセスできる点も利点です。情報量の多さは大きな武器になります。
限界
一方で、IT特化型エージェントではないため、技術的な詳細理解にばらつきがある可能性があります。
また、担当者によって障害理解の深さが異なる点も留意が必要です。企業内部の雰囲気や実際の配慮運用状況については、担当者の経験値に依存します。
提案内容を鵜呑みにせず、自身でも求人内容を精査する姿勢が重要です。
よくある質問(FAQ)
精神障害とIT転職に関しては、共通する疑問や不安がいくつかあります。
ここでは特に多い質問を整理し、実務的な観点から回答します。個別事情によって異なる部分もありますが、判断材料として活用してください。
Q1.精神障害があっても正社員になれますか?
正社員として採用されるケースは実際にあります。ただし、契約社員や嘱託社員として入社し、一定期間の勤務実績を経て正社員へ登用される仕組みを採用する企業も多いです。
重要なのは、雇用形態よりも長期的な安定性です。登用制度の有無や過去の実績を確認することで、将来性を判断しやすくなります。
Q2.未経験から応募できますか?
未経験枠は存在しますが、完全未経験よりも独学やスクールなどで基礎知識を習得している方が有利です。
テスト補助や運用補助からスタートし、徐々に業務範囲を広げるケースが一般的です。IT業界は実務経験が重視されるため、まずは実績作りを目的とした応募戦略が現実的です。
Q3.在宅勤務は本当に可能ですか?
可能な求人はありますが、条件付きであることが多いです。
業務内容やチーム体制によって在宅可否が変わるため、面接時に具体的な運用方法を確認する必要があります。制度として存在するだけでなく、実際に利用されているかどうかが重要な判断基準です。
Q4.開示しないと応募できませんか?
障害者雇用枠では原則開示が前提です。
Q5.年収はどこまで上げられますか?
年収はスキルと経験に比例します。クラウドや設計工程など市場価値の高いスキルを持つ場合、500万円台に到達するケースもあります。
ただし、障害者雇用枠では安定性重視の設計となる場合があり、急激な上昇は期待しにくいこともあります。中長期視点でのキャリア設計が重要です。
結論:求人はある

精神障害があっても、ITエンジニア求人は確実に存在します。
ただし、求人票の読み方、エージェントの活用方法、年収交渉、面接での伝え方によって結果は大きく変わります。自己応募だけで進めると、情報不足のまま消耗する可能性があります。
比較と準備を前提に動くことが、安定した転職への近道です。
求人を見て「この条件で本当に転職できるのか?」と感じた方は、障害者雇用でITエンジニアに転職する具体的な手順を確認してください。
まとめ
精神障害があっても、ITエンジニア求人は実在します。ただし、
だからこそ、求人を探す前に戦略を持つことが重要です。比較し、情報を集め、最短ルートで動く。それが、消耗しない転職の条件です。
