Webデザインを身に着けて仕事をしたい人が最も悩むのは「どのようにしてWebデザインの技術を身につけよう？」という点ですよね。まったくの未経験者であれば、Webデザインを独学で学ぶのは厳しいですし、続かないこともあります。中には、費用が抑えられるという理由で「職業訓練校でWebデザインを学ぼうかな…」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、実際にWebデザインのスキルを本格的に身につけて即戦力として働きたいなら、職業訓練校が最適とは限りません。
本記事では、職業訓練校でのWebデザイン学習がなぜおすすめされないのか、その理由を詳しく解説します。
短期間で確実に実践的なスキルを身につけたい方に最適な学習方法についても触れていくので、Webデザインの道を本気で歩みたい方、まずはこの記事を読んでみてくださいね。
目次
Webデザインの職業訓練校とは
そもそも、職業訓練校とはどういったものかご存じでしょうか。職業訓練校とは、就きたい職業に必要な技術や知識を習得させる施設を指します。主に公共職業安定所（ハローワーク）を経由して職業訓練施設を利用し、就職活動を行う場合が多いです。
職業訓練校は各都道府県に存在し、地域ごとに施設名が異なります。東京であれば「職業能力開発センター」、大阪なら「高等職業技術専門校」、長崎なら「高等職業訓練校」など施設名はさまざま。
また、職業訓練校には「高度職業訓練」「普通職業訓練」の２つの訓練レベルが存在し、「高度職業訓練」なら訓練期間は２年、「普通職業訓練」なら数か月～１年ほどになります。Webデザインであれば「普通職業訓練」に分類されることが多いので、短期での訓練でスキルを身に着けることが可能です。
ここまでの情報であれば「ハローワークを経由すれば、職業訓練施設で短期間にWebデザインのスキルが習得できる！」と感じるかもしれません。しかし、職業訓練には「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」という2つの種類があり、それぞれの違いをしっかり理解することが大切です。どちらも異なる目的や対象者に向けた訓練なので、選ぶ際にはその違いを把握することが重要となります。
公共職業訓練と求職者支援訓練の違い
公共職業訓練と求職者支援訓練は、主に対象となる人が異なる職業訓練を指します。
詳しい違いについては、以下の表をご覧ください。
| 種別 | 公共職業訓練 | 職者支援訓練 |
|---|---|---|
| 対象者 | 雇用保険の受給資格がある求職者 失業保険を受給している離職中の人 |
失業保険を受給できない求職者 失業保険の受給期間が終了した人 |
| 目的 | 離職者や求職者がスキルを習得し、再就職を目指すことが目的 | 雇用保険を受け取れない人に対して、職業訓練を通じて就職や転職を支援することが目的 |
| 実施場所 | 国や自治体が運営する公共機関（職業能力開発校など）で実施 | 民間の教育機関や訓練施設などが実施 |
| 訓練期間 | 数ヶ月〜1年が多い | 3〜6ヶ月が多い |
| 費用 | 無料（テキストは自己負担の場合が多い） | 無料（テキストは自己負担の場合が多い） |
| 給付金の有無 | なし | 要件を満たすことで職業訓練受講給付金が支給されることがある |
| 備考 | 失業手当を受けながら訓練を受けられる | 給付金の額は毎月10万円と交通費などが多い |
こちらの表を見てわかる通り、失業者の方であれば「公共職業訓練」で、失業保険の受給が終了した人や収入がない状態で就職活動をする人なら「職者支援訓練」を利用します。
雇用保険（失業保険）を受給できる期間は原則として離職日の翌日から１年間と決まっており、給与が大体月額20万円なら支給額は月額13.5万円程度です。
「公共職業訓練」を利用する場合、毎月13.5万円を生活費に充てながらWebデザインのスキルを身に着けるために訓練を受講します。
一方で、失業保険の受給が終了した求職者の場合、要件を満たさない限り給付金の支給もないので収入がない状態で職業訓練校に通う必要があります。
具体的にどのような要件かというと、次の通りです。
いずれにしても、一人暮らしだけでなく家庭を持つ方でも少ない生活費でやりくりしながら職業訓練校に通う必要があるので厳しい生活になります。
さらに、職業訓練校は失業者や求職者であれば誰でも簡単に通えるわけではありません。
Webデザインの職業訓練は落ちるって本当？
Webデザインだけに関わらず、職業訓練校に通う人は限られるってご存じでしたか？
職業訓練校は求職者であれば通えると思ってしまいますが、実は通常の学校と同じで受講申込書を行って、選考試験（筆記と面接）を受けたのちに合否発表が行われます。
つまり、選考試験（筆記と面接）の出来が悪いと不合格となり、訓練を受けられない場合があるということ。
とくに、Webデザインは男女問わず人気なので、他の職種と比べてもかなり高い倍率を誇ります。
公共職業訓練でWebデザインを受講する場合の倍率は1.3倍、求職者支援訓練なら1.5倍はあります。ほかの職種と比べても倍率が高いので、しっかりと選考試験の対策をしなければなりません。
離職中で収入がなく生活費もカツカツなのに、落ちて職業訓練を受けられないのはかなりの痛手といえます。
もし受講申込をするなら、各都道府県で掲載している入校選考過去問題集をきちんと実施しておくことをおすすめします。
また、以下のような本を読んで合格率を挙げるのも良いですね。
Webデザインの職業訓練にはどんなメリットがあるの？
先ほどの倍率を踏まえて落ちるリスクがある一方で、Webデザインを職業訓練校で学ぶメリットは次の内容があります。
- 圧倒的費用の安さ
- 未経験でも基礎から学べる安心感
- 短期間でスキル習得が可能
- 給付金や失業手当をもらいながら学べる
- 就職先とのパイプがある
各内容を詳しく見ていきましょう。
圧倒的費用の安さ
Webデザインを学ぶ際に、まず重要視されるのが「費用の安さ」です。職業訓練校では、基本的に授業料が無料で、これが多くの人にとって大きな魅力の一つとなっています。テキスト代や筆記用具といった一部の費用は自己負担ですが、授業自体にかかる費用が発生しないため、コストを抑えて学べる点が非常に優れています。
さらに、パソコンの貸し出しを行っている訓練校もあります。Webデザインには高性能なパソコンが必要ですが、手持ちのデバイスがない場合でも、訓練校が設備を用意してくれることが多く、高額なノートパソコンをわざわざ購入する必要がないのです。これは、特に初期投資を抑えたい人にとって大きなメリットです。
また、職業訓練校に通うことで、学割を利用してパソコンを安く購入できる場合もあります。これにより、学びながら徐々に自分の仕事道具を揃えていくことが可能です。パソコンに限らず、ソフトウェアやデザイン関連ツールの学割価格を利用できるケースもあり、お得にプロフェッショナルな環境を整えることができます。
未経験でも基礎から学べる安心感
職業訓練校は１からスキルを身に着けたい求職者の味方のため、未経験からでも基礎から学べます。
以前はWebデザインとはまったく縁のない仕事だったとしても、関係なく学べるのは嬉しいポイントです。また、訓練期間はコースに合わせて３月～８月など授業を受けられる月が決まっているので、入学生はスタートが一緒になります。
同じ未経験者同士一から学ぶので、周囲との差が発生しづらいのも未経験者にとってはありがたいと感じる内容です。
短期間でスキル習得が可能
Webデザインは普通職業訓練に該当するため、短期でスキルの習得ができます。
大体3か月～5か月の訓練期間のため、失業保険を給付しながら学ぶには打ってつけとも言えます。訓練終了後には資格取得もできるので、履歴書に記載して就職活動時にアピールポイントとしても使うことが可能です。
就職先とのパイプがある
職業訓練校は、地元企業とのつながりが強いため、訓練修了後の就職活動で有利になるケースが少なくありません。特に地域密着型の企業にとって、地元の人材を採用するメリットがあるため、訓練校を通じての就職支援が活発に行われています。
さらに、職業訓練校にはキャリア支援専門のスタッフが常駐しており、受講生一人ひとりに対して個別のアドバイスやサポートを提供しています。このサポートには、履歴書や職務経歴書の書き方、面接対策といった就職活動の基礎的な部分から、自己PRや企業とのマッチングに至るまで、幅広い範囲がカバーされています。
たとえば、面接で自信を持って話せないと感じる方には、模擬面接を通じて実践的なフィードバックを受けることができますし、履歴書やポートフォリオの添削を通して、より魅力的な自己アピールができるようにサポートしてくれます。
しかしながら、地元企業とのつながりが強い反面、全国的な求人や大手企業への紹介には限界があることも事実ですので注意してください。
Webデザインの職業訓練をおすすめしない理由
職業訓練校のメリットについて述べましたが、それでもWebデザインの職業訓練はあまりおすすめできません。
Webデザインの職業訓練をおすすめしない理由は次の通りです。
- 離職中が前提なのに落ちるリスクが高い
- 授業の質は受講生に左右されやすい
- 職業訓練を受けても就職率が低い
- 就職できても労働環境が悪い場合がある
- 役立つ資格は「ウェブデザイン技能検定」の国家資格だけ
各内容について詳しく触れていきます。
離職中が前提なのに落ちるリスクが高い
最初にお伝えした通り、職業訓練校に入学するためには、基本的に離職中であることが前提です。つまり、すでに安定した収入源がなく、次の就職先も決まっていない状態で訓練を受ける準備を進めることになります。
ところが、職業訓練校には「選考」があり、必ずしも全員が入学できるわけではないのです。訓練校に通ってスキルアップし、新しいキャリアに踏み出そうとしているのに、選考に落ちてしまうリスクがあるというのは大きなデメリットです。特に、失業手当を受けながら次の就職先を探している場合は、訓練を受けられない期間がそのまま収入がない状態を長引かせることになりかねません。
さらに、もし選考に落ちてしまった場合、希望するタイミングで訓練を受けられないことに加え、貴重な時間を無駄にしてしまう可能性も高くなります。離職中の身であれば、1ヶ月、2ヶ月の時間のロスは大きな痛手です。
ただし、職業訓練校の受講申込は何度でも挑戦することができます。再挑戦すれば受講のチャンスを得られますが、再応募までの期間が空くことを考えると、他のスキル習得方法を並行して進めておくことも考えるべきですね。
授業の質は受講生に左右されやすい
職業訓練校で学ぶ内容は基礎からスタートすることがほとんど。最初は基礎知識やツールの使い方を学んでいきます。
しかし、受講生の中には「少しWebデザインを独学したけれど、もう少しレベルアップしたいから受講した」という人もいると思います。その場合でも基礎から学び始めるので物足りないと感じてしまうことも。
基本的に複数人で授業を受けるため、進みが悪い生徒がいる状態だと授業の進みが遅れる場合もあります。
職業訓練を受けても就職率が低い
念願の職業訓練校に入学し、Webデザインのスキルを身につけることができたものの、就職で失敗するリスクがあることをご存知ですか？
実は、職業訓練校を経てWebデザイン業界に就職しようとする場合、就職率があまり高くないという現実があります。令和5年のデータによると、公共職業訓練を受けた人の就職率は約70%ですが、求職者支援訓練では54%にまで下がります。つまり、およそ3割から半数の受講者が就職に成功していません。
この数字が示しているのは、職業訓練校だけでは十分なスキルや実務経験が不足しており、厳しいWebデザイン業界で即戦力として評価されるには、追加学習や実践経験を積む必要があるということ。
さらに、Webデザインの求人は地方に限らず都市部に集中している傾向があり、地元での就職が難しい場合もあります。そのため、職業訓練校でスキルを学んだだけでは、求められる人材として見なされず、結果的に就職活動に苦戦するケースが少なくありません。
就職に成功するためには、単に基本的なスキルを学ぶだけでなく、実務に近いプロジェクト経験やポートフォリオの充実が必要になります。
就職できても労働環境が悪い場合がある
職業訓練校を利用してスキルを身につけ、運良く就職に成功したとしても、必ずしも良い労働環境に巡り会えるとは限りません。特に、職業訓練校で紹介される企業の中には、未経験者を低賃金で採用し、長時間労働を強いる職場も存在します。これは、スキルや実務経験が浅い未経験者がターゲットになりやすいことが理由の一つです。
Webデザイン業界はクリエイティブで魅力的な仕事が多い反面、納期に追われやすく、残業が常態化している企業も少なくありません。職業訓練校経由での就職では、こうした過酷な労働条件を提示されることもあり、スキルを活かして働けても労働環境に不満を感じる可能性があります。
また、職業訓練校は地元企業とのパイプが強い傾向にありますが、大手企業や条件の良い職場へのアクセスが限られているため、地元の中小企業や零細企業が紹介されることが多いです。結果として、労働条件や福利厚生が整っていない職場に就職してしまうリスクも高くなります。
就職後に労働環境の悪さに悩むことになれば、キャリアを積む前に心身の負担が大きくなり、再転職を余儀なくされることも少なくありません。
役立つ資格は「ウェブデザイン技能検定」の国家資格だけ
職業訓練校では、Webデザインに関連するさまざまな資格を取得できる機会があります。例えば、Photoshopクリエイター能力認定試験やIllustratorクリエイター能力認定試験などが一般的に提供される資格です。しかし、これらの資格はあまり実務に直結しないというのが現実です。
PhotoshopやIllustratorのスキル自体はWebデザイン業界で確かに重要ですが、これらの資格があることが直接的な評価につながるケースは少ないです。多くの企業は、資格の有無よりも実際にどれだけ使いこなせるか、そしてポートフォリオで示された実力を重視します。つまり、資格があっても実務で使えるスキルがなければ、就職やキャリアアップにはほとんど影響がないということです。
一方で、「ウェブデザイン技能検定」は、唯一の国家資格であり、Webデザイン分野でのスキルを証明する信頼性の高い資格です。特に、実務経験に基づいた能力が評価されるため、企業側からの信頼も厚く、転職やキャリアアップを目指す際に役立つ資格と言えるでしょう。
これらを踏まえ、実務において価値があるのは「ウェブデザイン技能検定」だけと言っても過言ではありません。
実は…私もWebデザインの職業訓練を受けようとしたことがありますが、結局は利用しませんでした。
利用しなかった理由としては、職業訓練校の説明会で合わないな…と感じたことと、受講後の資格取得があまり魅力に感じなかったからです。
どうせスキルを身に着けるなら現場力や技術力に特化した本格的なスクールが良いですよ。
Webデザインの職業訓練より技術力・就職率が高いスクールがおすすめの理由
職業訓練校は費用面や公共支援の面でメリットがあるものの、技術力を高めるための実践的な教育や就職サポートの面では限界があるのが現実です。特に、Webデザインの業界では、実務経験を基にしたスキルとポートフォリオが重要視されるため、単に資格を取得するだけでは、採用に繋がりにくい場合も少なくありません。
その点、Webデザインスクールでは、最新のデザインツールやトレンドに即したカリキュラムを提供しており、即戦力として活躍できるスキルを短期間で身につけることが可能です。また、職業訓練校と異なり、マンツーマンのサポートや現役デザイナーからのフィードバックを受けられることが多く、より実践的な学びを深められるのが特徴です。
さらに、スクールでは就職サポートやキャリア相談が充実しているため、Webデザイン業界でのキャリア形成に不安を感じている方でも安心して転職活動に挑むことができます。特に、多くのスクールが提携している企業とのネットワークを活かした就職支援や求人紹介は、職業訓練校では得られません。
そのため、Webデザインスキルを確実に身に付け、就職やキャリアチェンジを成功させたいのであれば、技術力と就職率の高さが評価されている専門スクールを選ぶのが賢明です。ここでは、おすすめスクールを紹介するので、即戦力として本気でWebデザイナーになりたいと考えている人は無料相談をしてみてください。
【HerTech（旧：WeRuby）】
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まとめ
本記事では、Webデザインを職業訓練校で学ぶ際の注意点とその理由について解説しました。職業訓練校でプロのWebデザイナーとして成功している方もいますスクールと比べて苦労することが多いことは確かです。
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